こんにちは。comcom のコミュニティリサーチチームのなかおです。
comcom は、「居場所づくりで飯が食える社会」の実現を目指し、コミュニティマネージャー向けの支援サービスを複数提供しています。

▼ サービス一例
コミュニティ分析ダッシュボード │ comcom analytics
コミュニティマネージャーの学習コミュニティ │ コミュマネLAB

わたし達は、「良質なコミュニティ運営を支えるのは、コミュニティマネージャーである」と考えています。

(注)コミュニティマネージャーの定義
コミュニティマネージャーの定義は様々ですが、わたし達は「コミュニティ内でのコミュニケーションの活性を促すために、メンバーのことをよく知り、場を整備したり、ときにはトラブルシューティングを行う役割」と定義しています。

コミュニティマネージャーはやるべきことの量が多く、内容も多岐に渡るハードな役割です。 わたし達は、コミュニティマネジメント業務の負担を少しでも改善すべく、アクションをとっています。

その一環として note で、リサーチチームのメンバーが発見した、今日から試せる運営のナレッジを共有していくことにしました。
初回のnoteでは、コミュニティ運営の基本である「自己紹介」にまつわる tips を2つ紹介します。

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オンラインコミュニティの基本である自己紹介

オンラインコミュニティは実空間で運営されるコミュニティと比べて、メンバー同士で共有できる情報量は圧倒的に少なくなります。実空間の場合は、表情はもちろんのこと、身振り手振り、服装、目線などアクセスできる情報量に溢れています。他方、DiscordやSlackなどのプラットフォームでコミュニティを運営する場合、メンバー全員がアクセスできる最低限の情報は、アカウント画像やアカウント名に限られてしまいます。

このように、自然な状態では圧倒的に情報量が少なくなりますし、情報量の少ない相手とコミュニケーションを取ることに対して、心理的ハードルを高く感じる方は多くいるように思います。
なので、オンラインコミュニティのコミュニティマネージャーは、メンバー間の交流を促進するために「メンバー同士の情報が流通しやすい状態」に向けて、日々工夫を凝らしているのではないでしょうか。

その代表的な手段として、 多くのオンラインコミュニティでは、参加時に新規メンバーが自己紹介することを推奨していると思います。

そこで、自己紹介に注目して100件のオンラインコミュニティを観察したところ、自己紹介に対する反応によって、コミュニティの活性度に違いがある印象をいだきました。
しかし、実際のところはどうなのでしょう?自己紹介の投稿に対するスタンプや返信などの反応に着目し、調査しました。

その結果、基本的なことではありますが、2つの有用な要素を発見することができました。

Tips1: 自己紹介には「コメント」を返そう

自己紹介に反応があるとコミュニティが活性化するという仮説をもとに、100件のオンラインコミュニティにおける自己紹介の反応とコミュニティの活性化の関係を調べました。

活性化の定義は、雑談チャンネルの投稿数がメンバー数の10%以上である、としています。

(注)雑談チャンネルとは?
多くのオンラインコミュニティで採用されているメンバーが雑談するチャンネル。他のチャンネルでやりとりするほどのことではない、ささいな内容でも投稿できる。

リサーチ結果は以下の図の通りです。

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図1 : 自己紹介への反応と雑談の関係

上記のリサーチ結果からは、同じ自己紹介に対する反応でもスタンプについては雑談チャンネルの投稿数とは関係が見られませんでした。一方、この調査では統計学的に有意とは言えないものの、コメントは雑談チャンネルの投稿数の増加、すなわちコミュニティの活性化との関係が見られました。

Tips2: 「自己紹介テンプレート」というひと工夫

さらに具体的に観察すると、盛り上がっているコミュニティの内、コメントを返信しているコミュニティの多く(8 / 11件)は、「自己紹介テンプレート」を用意していました。

観察による主観ではありますが、自己紹介テンプレートがあることでコミュニティ内で流通する情報が増え、コメントやリアクションが増えていく良い循環が促進されるのではないかと考えています。(図2

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図2 : 自己紹介テンプレートがもたらす良いサイクル

では、どのようなテンプレートが良いでのでしょうか。複数のコミュニティのテンプレートを参考に、わたし達で3種類考えてみました。

ケース1 : コミュニティ運営者のコミュニティ
1.名前
2.運営コミュニティ
3.コミュニティ運営していてのお悩み
4.メンバーの皆さんへ

ケース2 : 特定の分野のコンテンツ鑑賞者のコミュニティ
1. 名前
2. 好きな本
3. 興味のある領域
4. その他意気込みなど

ケース3: ゲームプレイヤーの雑談コミュニティ
1. 名前
2. 好きな ゲームソフト
3. 趣味
4. ひとこと

自己紹介テンプレートをベースにした投稿が盛んなコミュニティでは、4つ程度の項目に絞ってテンプレートを用意している印象を抱いたので、4つに固定して作成しました。
コミュニティに直接関連する情報に加えて、趣味や興味関心など周辺の情報を開示できる項目を持つことで、話のとっかかり(= 共通項)を増やすことを意識しています。
みなさんがご存知の良いテンプレートがありましたら、ぜひシェアして教えていただけたら嬉しいです。

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おわり

あくまでコミュニティリサーチチームの調査の範囲内ではありますが、以上お伝えしてきたように、以下2点がわかりました。

① 自己紹介に既存メンバーの反応コメントが付くとコミュニティ内の雑談が活発になる確率が高くなる
② 自己紹介のテンプレートが用意しておくと、よりコメントを促す効果が期待できる

ぜひみなさんのコミュニティ運営にも取り入れてみてくださいね。

執筆:なかお
調査:たつき
編集:ひぐち